つくばを撮る/フィルムで撮る

March 05, 2024

数年間お知らせ以外に更新されなくなってしまっていたブログを再始動させることになりました。今回のブログリレーでは、部員有志が自らの撮影スタイルなどについて語りつつ、写真部の環境についても知っていただけるものとしようと考えています。

第一弾は人文学類3年のY.K.が担当します。私は街並みや植物など様々なものを撮っており、写真歴はコンデジ時代を含め10年ほどと部の中でも長い方になるでしょうか。この記事ではつくばでの、そして写真部での私の写真活動について、それぞれ1題ずつ書かせていただこうと思います。

つくばを撮る

大学進学を機につくばに移ってきた私は、当初からよく「つくば」を意識して撮影を行ってきました。その方法は筑波山やエキスポセンターのロケットといったアイコンを画面に含めること、公務員宿舎跡などのつくば特有の要素を被写体にすること、そして変化が続く街のある時点での状態を記録することなどいくつかあり、私の中での主流は時期によって移り変わってきたように思います。

つくばは特殊な街です。50年ほど前、農村地域に突如「筑波研究学園都市」が建設されたことで、現在の街の原型が作られました。公務員だった研究・教育機関関係者を住まわせるために多彩な公務員宿舎が建設され、また、当時の理想を反映させ数多くの公園と歩車分離のための遊歩道網が整備されました。今日でも、それらは数を減らし形を変えつつも残存しています。その一方で、変化が比較的速いペースで進んでいるのもまた事実です。公務員宿舎は多くが使われなくなり、徐々に取り壊されては跡地にマンションや戸建て住宅群が建設されています。既存の施設のリニューアルや周辺地域での新たな開発も進んでいます。

たまたまつくばで過ごすことになった4年間。学年が違えば、見ることになっただろう景色もきっと違うのでしょう。今残されているもの、今変化の途上にあるもの、新たに出現したものをそれぞれ記録することを一つの目標に、私はこのごろ、そしてこの先も撮影を行っていきます。

2403 yk 1 無住化した公務員宿舎。ここはちょうど昨年取り壊されてしまいました。

2403 yk 2 公園の滑り台。一斉に設置されたのでしょうか、類似した形状のものは市内のほかの公園でも見られます。

2403 yk 3 最近建設された戸建て住宅地とマンション。引っ越してきたときはたしか更地でした。

フィルムで撮る

筑波大学写真部には、フィルム写真を撮影・現像・プリントするための環境が整備されています。私はこれを活用し、しばらく前からデジタルだけでなくフィルムでも撮影を行っています。

フィルム写真は20年ほど前にデジタルにとってかわられるまで主流だった写真の方式で、画像は電子データとしてではなく化学的な方法によってフィルムに記録され、現像作業を経て初めて目にすることができます。レンズ付きフィルム「写ルンです」の名を聞いたことがある方は多いかもしれません。

写真部が拠点とする「暗室」には、フィルムやカメラ、薬品類、引き伸ばし機など各種の用品を揃え、モノクロに関しては撮影から現像、引き伸ばし(プリント)までの一連の流れを部の備品のみで行うことができる環境を構築しているのです。

(当然ながら)デジタル一本でやってきた私は、写真部に入って初めてフィルムカメラについて知りました。実際に触れてみたのは1年の秋のこと、初心者向けに部内で催された「フィルムの会」においてです。そこで撮影と現像を一通り体験し、二度三度と参加を重ね、さらには部の貸出カメラを用いて、そして3年の夏にはマイフィルムカメラを手にしてモノクロフィルム写真の撮影を行うようになりました。

使っているカメラは1960年代後半に発売されたもので、すべてがマニュアル。絞りとシャッタースピードを自分で決め、ピントリングを回して焦点を合わせ、巻き上げを行ってシャッターを切る。撮りきったら数十分かけて暗室で3種類の薬品に順に漬け、現像する――手間と慣れを少しずつ要求しますが、普段のデジタルでの撮影とは真反対となることをかえって楽しく感じています。

2403 yk 4 初めて参加した「フィルムの会」にて。不慣れなのにマニュアルフォーカス機を選んだため、ピントを合わせ損ねたようです。

2403 yk 5 公務員宿舎の解体現場。毎日変わる光景を撮る時は失敗しないか特にどきどきします。

2403 yk 6 大学学生宿舎地区にて。現像レシピの関係上ざらつきがありますが、これはこれで。


©︎ 2020 筑波大学写真部

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