「見る」写真から「読む」写真へ

September 15, 2020

 こんばんは。筑波大学写真部のシミズです。私は、小学生の時に書いたような絵日記のような写真の見せ方について、自分の思うところを述べます。


 皆さん一度は夏休みの宿題で書いたであろう絵日記。そこには夏の思い出を描いた絵とその時の純粋な気持ちが表れていたと思います。私が目指したのは、そのような絵(写真)だけでなく、その時にふと思ったことをつれづれなるままに書いた、いわば随筆、あるいは日記に近い、とても感情的な見せ方です。


 論より証拠ということで、去年の夏休みの一人旅をベースに実際にここに再現しようと思います。


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 去年の8月上旬、静岡県の沼津に旅行へ行きました。写真部での合宿等で遠出をする機会は何回かあったのですが、今回は初めての一人旅となりました。宿の予約から目的まで、2、3日前にその場の勢いで決定、すぐさま準備をしてやってきた次第です。


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 沼津に着いたのは午後4時ごろ。しかしこの日はものすごく暑かった。日が暮れかかっていたというのに35度近くあったと記憶しています。その証拠に、近くの公園では誰一人として遊んでいませんでした。なんだかその様子が少し物悲しくて写真を撮りました。

 この写真は個人的に気に入っていて、去年の学園祭に展示をしております。


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 これは、公園へ向かう途中にいた犬です。人間同様、犬も暑さでぐったりしていました。犬といえば元気に吠えたり、しっぽを振ったりして、なかなか活動的だという印象があったのですが、やはり暑さには勝てなかったようです。

 私は小さいころから犬が好きで、子供のころはふれあいコーナーで犬をなでたりするのが好きでした。ところで、私の祖父母の家では現在ミニチュアシュナウザーが飼われているのですが、年に一回ほどしか顔を出さないからか、一向になつく気配がなく、容赦なく吠えられます。ここまでめちゃくちゃ警戒されてしまったのは、日ごろの行いが悪かったのを見透かされたからでしょうか


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 沼津市内を散策していた際に気になったのが、こうしたシャッター通りの存在です。駅のすぐ近くに商店街があるのですが、このように店の大半にシャッターが降りていて、元気に営業していたのは駅近くの商業ビルや、大手スーパーといった大規模な商業施設ばかりでした。実は、沼津はある有名なアニメの舞台となった場所で、町のいたる場所でそのアニメのイラストなどが飾られていました(私が止まったビジネスホテルにもカウンターにフィギュアが置いてあったと記憶しています)。このおかげか、一部の個人商店と見られる店舗は店が開いていて営業していたのですが、それでも多くの店が閉まっている以上、効果は限定的ではないかと思いました。アニメと手を組んで町おこしということは、沼津だけでなくほかの町でも行われていますが、必ずしもすべてがうまくいっていないのが現状なのでしょうか。


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 沼津に来た真の理由は、「さわやか」のハンバーグを食べることです。「さわやか」というものすごくおいしいハンバーグを提供するファミレスがあることは知っていたのですが、静岡県内にしかなく、なかなか行く機会がありませんでした。そこで一念発起し、この静岡旅行を急遽計画したのです。

 たかがハンバーグとお思いの方もいらっしゃると思いますが、「さわやか」のハンバーグは別格といってよいほどのおいしさです。1年前に来たときは、平日にもかかわらず10人以上もの人が並んでいて、席に案内されるまで数十分待つことに。そこからさらに注文から提供まで少し待ってようやくハンバーグと対面できるというわけです。ここまでしてようやく食べることのできるこのハンバーグですが、まさに牛肉をそのまま噛みしめるような今までにない体験をすることになりました。肉自体はレアに近い焼き加減なのですが、生の牛肉というほどではない計算された焼き加減。そこへ100パーセントだからこそのジューシーさが合わさることで、ステーキとはまた違う、「肉をかみしめる」ような感覚がそこにはありました。あまりのおいしさに、人目を憚らずに一眼レフを取り出して思わず撮影したのがこの写真です。

 改めて当時のことを思い出すと、やはりまた「さわやか」に行きたくなってしまいます。コロナウイルス流行により、以前より気軽に旅行ができない状況が続いていますが、また機会があれば静岡まではるばる遠征に行きたいです。


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 写真を撮った時の思いや気持ちというものは、なかなか普段の写真展では表現することが難しいです。そこで、私は去年の学園祭でこのように写真だけでなく、その時の気持ちや考えたことも一緒に載せることができるフォトブックという表現方法に魅力を感じています。単に写真を見るだけでなく、そこにある気持ちを読むことで、さらに写真に意味を持たせられるのではないかと考えています。

 ちなみに今回使った写真は基本的にトリミングや加工の類を一切やっておらず、すべて現地で撮った写真データをそのまま使っております。気の赴くままに写真を撮ったということを示したかったので、あえてそうしたことをせず、あるがままの状態で載せました。このような表現方法はともすれば邪道であるかもしれませんが、私はこの「読む」写真という方法をさらに深めたいと考えています。

 以上、最後までお読みいただきありがとうございました。


©︎ 2020 筑波大学写真部

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